インナーブランディングとは?目的や方法、効果を最大化するポイントを解説
インナーブランディングとは?目的や方法、効果を最大化するポイントを解説
インナーブランディングの重要性が増している昨今ですが、どのように施策を進めていけばよいのか分からず、なかなか着手できないという企業は少なくありません。
しかしインナーブランディングは企業が成長するために欠かせない考え方です。施策をスムーズかつ効果的に実行するためにも、まずは前提知識の理解から進めていきましょう。
本記事ではインナーブランディングの目的や方法、成功事例について取り上げています。効果を最大化するためのポイントについても解説しておりますので、インナーブランディングの推進を検討している企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
インナーブランディングとは
インナーブランディングとは、企業や組織が自分たちの中で共有する大切な考え方や価値観を従業員に伝え、浸透させるための取り組みのことです。インターナルブランディングとも呼ばれます。
ブランディングには「外部向け」「社内向け」の2種類の取り組みがありますが、インナーブランディングは「社内向け」に該当します。
- アウターブランディング:顧客や取引先、消費者など、社外に向けて自社ブランドを訴求すること
- インナーブランディング:社内の従業員に向けて企業理念やブランドコンセプトを共有すること
ここでは、インナーブランディングの目的と、近年インナーブランディングが重要視されている理由について見ていきましょう。
関連記事:ブランディングとは?構築手法や効果を高めるコツ、成功事例を解説
インナーブランディングの目的
インナーブランディングの目的は、組織内で共通のビジョンや価値観を築き、組織のメンバーが一体となって共通の目標に向かって行動することです。
たとえば、株式会社オリエンタルランドが運営する東京ディズニーリゾートには、接客マニュアルが存在しません。マニュアルがないなかで同社の従業員(キャスト)が高い水準の接客を提供できるのは、同社がキャストのゴールと、ゴールを実現するための行動規範を明確に示し、浸透させているからといえます。
ディズニーテーマパークでは、Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Inclusion(インクルージョン)、Show(ショー)、Efficiency(効率)という5つの行動基準を設けています。東京ディズニーリゾートのキャストのゴール「We Create Happiness ハピネスの創造」を実現するために、ディズニーテーマパーク共通の「The Five Keys~5つの鍵~」という行動規準に基づき、すべてのキャストが判断、行動しています。(引用:パーク運営の基本理念 |株式会社オリエンタルランド)
このように、従業員の目指すゴールや考え方を共有できれば、組織の一体感や結束力を高め、個々の自発的な行動を促すことができるでしょう。結果として、組織のパフォーマンス向上や、ブランド価値の向上など、さまざまなメリットを得ることができます。
インナーブランディングが重要視される理由
近年、インナーブランディングが重要視されている理由として、従業員の価値観や働き方が多様化していることが挙げられます。
近年の労働市場では、従業員が働く企業の価値観や文化に共感し、自己実現や意義のある仕事に関与したいという意識が高まっています。インナーブランディングは、従業員が組織のビジョンや価値観に共感し、満足感ややりがいを感じるための重要な要素となっているのです。
また企業としても、組織が社会的責任を果たし、持続可能なビジネスを展開することが求められています。インナーブランディングは、従業員に対して社会的使命感や環境への配慮を醸成し、組織の社会的貢献を実現する一助となるでしょう。
インナーブランディングのメリット
インナーブランディングに取り組むことで、企業は下記のようなメリットを得ることができます。
- 従業員エンゲージメントの向上
- 組織のパフォーマンス向上
- ブランドイメージの構築
- 従業員の定着率向上・採用強化
従業員エンゲージメントの向上
インナーブランディングは、従業員エンゲージメント(企業への愛着や、自発的に貢献したいと思う意欲)の向上に寄与します。
従業員が自社のビジョンや目標を理解していない企業では、従業員が当事者意識を持って行動を起こすことができません。そのような状況では、従業員のモチベーションやパフォーマンスも停滞してしまうでしょう。
インナーブランディングで内部に向けて企業の目指すべき姿を発信し、浸透させることで、従業員の自社への愛着や意欲を高めることができ、自発的な行動や個人のスキルアップを促すことができます。
組織のパフォーマンス向上
インナーブランディングによって自社への理解度が深まり、進むべき方向性がわかれば、従業員は自発的な行動を取れるようになります。また従業員全員で同じビジョンを共有できるため、メンバー同士の連携も促進できるでしょう。結果として目標達成に向けた取り組みがより一貫したものとなり、パフォーマンスの向上が期待できます。
とくに中小企業では、従業員一人ひとりのパフォーマンスが業績に直接影響を及ぼすことも考えられます。そのため、インナーブランディングによって各々のパフォーマンスを高め、生産性を向上させることは企業の成長に大きく貢献するでしょう。
ブランドイメージの構築
インナーブランディングによって従業員に統一されたビジョンや価値観を共有することは、彼らが自発的にアウターブランディングを行うきっかけになります。
たとえばSNSやWebサイトでの情報発信や販促イベントなど、社外に向けた発信の場で、正しいブランドイメージを熱量を持って伝えられるようになります。従業員一人ひとりがブランドのアンバサダーとなることから、企業やブランドの価値を強力に伝えることができ、ブランドイメージの構築につながるでしょう。
従業員の定着率向上・採用強化
インナーブランディングによって、従業員は組織のビジョンや文化に共感し、自身の成長やキャリアの発展をより鮮明にイメージできるようになります。その結果、従業員の定着率が向上し、組織内での離職率が低下するでしょう。
またインナーブランディングによって組織の魅力が高まることにより、優れた人材を採用しやすくなります。自社の魅力やコンセプトを理解したうえで応募してもらえるため、採用のミスマッチが生じにくい点も大きなメリットです。
インナーブランディングの具体的な手法
インナーブランディングの具体的な手法としては、下記が挙げられます。
- 社内報やニュースレター
- 社内SNS・社内ポータルサイト
- スタッフブログ(社長ブログ)
- 社内イベントやワークショップ
- 教育・研修プログラム
- 内部表彰制度
インナーブランディングの手法に正解はありません。自社に合わない手法はかえって従業員のモチベーションを低下させてしまう恐れがあるため、施策検討は自社の風土やリソースに合わせて慎重に行いましょう。
インナーブランディングの成功事例
インナーブランディングの成功事例として、下記の3社を紹介します。
- 株式会社アイワード
- AGC株式会社
- 福島トヨペット株式会社
株式会社アイワード
印刷事業を展開している株式会社アイワードでは、全社員が日報を書き、その内容をフィードバックする社内報を週2~3回のペースで発行しています。
日報のピックアップは社長と専務が担当。情報の共有を目的とした取り組みですが、社員と経営層のコミュニケーションツールとしても役立っています。この取り組みは経団連にも取り上げられ、インナーブランディングの成功事例として多くのメディアで紹介されています。
AGC株式会社
ガラスメーカーのAGC株式会社は、創立110周年プロジェクトの一貫として、2017年9月に社内向けWebテレビ局を創設しました。制作された番組には多くの社員が登場しており、グループの一体感醸成に貢献しています。
さらに同社は、番組内で社員が語った「みんなが集まれる社内イベントを開催したい」という夢から、全社を巻き込んだファミリー周年イベント「Aフェス」を開催。イベントには社員とその家族の約2,000名が参加し、周年プロジェクトのテーマである「challenge」「One Team」「垣根を超えたコミュニケーション」の体現につながりました。
福島トヨペット株式会社
福島県を中心に自動車販売事業を行う福島トヨペット株式会社は、社内SNS「Talknote」を活用し、社内コミュニケーションの活性化を図っています。
同社では、コロナ禍を経て社員が集まる場が減少したことにより、社内のつながりの希薄化が進んでいました。また従業員からの「経営陣の考えを知りたい」という声もあり、社内SNSの運用に着手。
結果として、よりオープンでフランクなやりとりができるようになり、社員同士のつながりだけでなく、経営陣と社員のつながりを強化することに成功しています。
インナーブランディングの効果を最大化するポイント5つ
最後に、インナーブランディングの効果を最大化するポイントを解説します。下記5つのポイントを考慮しながら、インナーブランディングの戦略を立て、実行していきましょう。
- ビジョン・ミッションを明確化する
- 中長期的な計画を立てる
- 継続的な評価と改善を行う
- 従業員の参加を促す
- まとまった予算を確保する
ビジョン・ミッションを明確化する
インナーブランディングでは、企業のビジョンとミッションを明確に定義することが極めて重要です。
ビジョンは、組織が達成したい将来の姿や目標を示し、ミッションは、組織がなぜ存在するのか、どのような価値を提供するのかを明確にします。従業員がビジョンとミッションに共感し、それに向かって行動できるような基盤を作ることで、従業員の自発的な行動や組織としての一体感を得られるようになるでしょう。
中長期的な計画を立てる
インナーブランディングは長期的な取り組みであり、短期的な結果だけではなく持続的な成果を目指す必要があります。中長期的な計画を立て、目標やステップを明確にしましょう。
改革を急ぐあまり、従業員の納得を得られないままビジョン・ミッションを覚えてもらっても、成果にはつながりません。インナーブランディングでは、具体的な行動プランやタイムラインを設定し、効果測定や施策の評価を行いながら実践と改善を繰り返していくことが大切です。
継続的な評価と改善を行う
インナーブランディングの効果を測定するためには、継続的な評価と改善のサイクルを確立しましょう。具体的には、従業員へのアンケート実施や、eNPS(従業員のロイヤルティを数値化したもの)・人員の定着率などの調査が効果測定の方法として挙げられます。
効果測定を行ったら、測定結果に応じて施策の内容をアップデートしていくことが求められます。「施策の実施→効果測定→改善」のフローを繰り返し、内部体制を整備・維持していきましょう。
従業員の参加を促す
インナーブランディングは組織全体の取り組みであり、従業員の参加と関与が不可欠です。従業員が意見やアイデアを発信できるフィードバックの仕組みを整備し、彼らの貢献を受け入れる文化を築いていきましょう。
社内イベントやワークショップは従業員の参加をただ強制するのではなく、従業員自身が参加したいと思えるような魅力的な企画を用意することが大切です。たとえばはじめはカジュアルなランチ会からスタートし、従業員のレベルに合わせてワークショップやセミナーを開催するなど、段階的な取り組みを計画すると良いでしょう。
まとまった予算を確保する
インナーブランディングには一定の予算が必要です。
たとえば社内のつながりが薄いなら、社内ポータルサイトや社内SNSの運用が効果的です。社内ポータルサイトの構築には、小規模サイトで50万円~、大規模サイトで500万円以上のコストがかかるため、事前にまとまった予算を確保しておく必要があります。
「やりたい施策があっても予算不足で実行できない」「予算の関係上、理想の形で施策を実行できず、成果が得られなかった」などの問題を防止するためにも、組織の中でインナーブランディングに対する優先順位を明確にし、必要な予算を確保しておきましょう。
インナーブランディングは中小企業にこそ重要な考え方
インナーブランディングは、競争が激しい中小企業にこそ重要な考え方です。他社との差別化や業績向上を目指すなら、インナーブランディングは避けて通れません。
インナーブランディングの施策は社内報の発行や社内イベント・セミナーの開催などさまざまな種類がありますが、社内ポータルサイトの運用や、コーポレートサイトのリニューアルなど、Webサイト周りの施策を推進していくなら、運用を行いやすいCMSの導入から進めていきましょう。
GIGが開発・提供しているCMS「LeadGrid」は、直感的な操作感が魅力のクラウド型CMSです。マウス操作とキーボード入力だけでコンテンツ編集を行えるため、担当者ベースでの更新が可能。中長期的な取り組みが求められるインナーブランディングにおいても、担当者がストレスを抱えることなく施策を実行できます。
LeadGridについて、詳細は下記よりご覧ください。
LeadGrid BLOG編集部は、Web制作とデジタルマーケティングの最前線で活躍するプロフェッショナル集団です。Webの専門知識がない企業の担当者にも分かりやすく、実践的な情報を発信いたします。
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