リブランディングの失敗事例を紹介|9つの事例から読み取る注意点とは
リブランディングの失敗事例を紹介|9つの事例から読み取る注意点とは
リブランディングの実施を検討している企業担当者のなかには、失敗事例を知り、傾向を掴んでおきたいと考える方も少なくありません。
リブランディングは世界的大企業でも失敗するケースがあり、簡単に成功できるとは限らないのが現状です。
そこで本記事では、海外・日本企業のリブランディング失敗事例を詳しく取り上げます。
それぞれの失敗原因や、事例から読み取れる注意点も解説しておりますので、リブランディング実施を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
なお、リブランディングの基礎知識や成功事例については、下記の記事で確認いただけます。
関連記事:リブランディングとは?目的や実施タイミング、進め方やポイントを解説
関連記事:リブランディングの成功事例13選|実践して成果を出すポイントも解説
海外・日本企業のリブランディング失敗事例9選
海外・日本企業のリブランディング失敗事例をそれぞれ紹介します。失敗の傾向を掴み、自社の改革に生かしましょう。
海外企業のリブランディング失敗事例
海外企業のリブランディング失敗事例として、下記の6ブランドを紹介します。
- トロピカーナ
- ドクターペッパー
- コカ・コーラ
- Uber
- バーガーキング
- GAP
トロピカーナ
トロピカーナは1949年にアメリカで生まれたオレンジジュースです。1965年には海外進出を果たし、1991年には日本での販売も始まるなど、世界60ヵ国以上で愛されています。
トロピカーナは2009年に一度パッケージデザインの変更を行っていますが、これがきっかけで消費者から批判が殺到。デザイン変更から1カ月で商品の売上は20%減少し、すぐにパッケージデザインを戻すことになりました。
トロピカーナが新パッケージの定着に失敗した原因はいくつかありますが、その一つが商品の象徴ともいえるオレンジの写真を消してしまったことです。新しいデザインはシンプルでスタイリッシュではありますが、特徴的な写真が消えてしまったことから、消費者がオレンジーナを認識しにくくなってしまったと考えられます。
またオレンジにストローが刺さった独特のデザインは、トロピカーナの新鮮さを上手く表現していました。しかし新デザインではコップに注がれたオレンジジュースをモチーフにしており、新鮮さや健康的なイメージが損なわれたのではないかという見解もあります。
このトロピカーナの事例は、ユーザーが商品に何を求めているか、また商品をどのように認識しているかを見誤った結果といえるでしょう。
コカ・コーラ
コカ・コーラは、1886年にアメリカで発明された世界最初のコーラ飲料です。日本での人気も高く、CCCマーケティング株式会社による「炭酸飲料の購買ランキング」では、全年齢で1位に輝いています。
そんなコカ・コーラですが、実は1985年に「長年愛された味を変える」という大胆なリブランディングを仕掛けています。しかし味の変化を受けて、ファンは大反発。結局コカ・コーラは3ヶ月ほどで元の味に戻し、巨額を投じて実施したリブランディングは失敗に終わります。
当時、コカ・コーラは競合のペプシにシェアを奪われつつあり、ペプシに負けないコーラを作るため入念なリサーチを経て開発が行われました。しかし愛飲者が求めていたのは「ペプシに負けないコーラ」ではなく「いつも変わらないコカ・コーラの味」だったのでしょう。
コカ・コーラの失敗事例からは、消費者のニーズを捉えることの重要性を読み取ることができます。
ドクターペッパー
ドクターペッパーは、1885年にアメリカで発売開始された炭酸飲料です。1904年にはアメリカ全土で展開され、現在ではヨーロッパ、アジア、北米、南米など世界中で販売されています。
日本でもおなじみのドクターペッパーですが、2011年に新たなフレーバーであるドクターペッパー・テンを「It's Not for Women(女性向けではない)」と銘打って販売したことから、性差別として大きな批判を浴びました。
ドクターペッパー・テンは1本につき10カロリーと低カロリーなことを強みとしており、「ダイエット炭酸飲料を好まない男性にこそ飲んでもらいたい」という思いを持っていたようです。しかし低カロリー炭酸飲料は女性からの人気も高く、購買意欲のある女性に対して「買わないように」とプロモーションするのは効果的な広告とはいえないでしょう。
当時はすでに性差別排除の意識が高まっていたことから、世界最大の署名サイトChange.orgでも撤回を求める署名活動が行われ、差別的なプロモーションを行ったドクターペッパーのリブランディングは失敗に終わりました。
Uber
Uberは2009年にアメリカで誕生した配車アプリです。サービスに登録している人がドライバーとして働けるシステムで、「ドライバーは空き時間にお金を稼げる」「利用者はタクシーよりも低価格で移動できる」という双方にメリットがあるサービスとして世界中で利用されています。
Uberは2016年にロゴとアイコンを大幅にリニューアルしたことから、「アイコンが変わりすぎていて見つけられない」とユーザーから批判が相次ぎました。
新しいデザインからはUberの「U」が消え、まったく別のアプリのように見えます。このデザイン変更にはUberのCEOであるTravis Kalanick氏の意見が色濃く反映されていたようで、SNSでは「CEOはデザイナーではない」「CEOのエゴをデザインに反映させるべきではない」などの意見が飛び交いました。
リブランディングでロゴマークを変更することはよくあるケースですが、Uberの事例からは人々が慣れ親しんだロゴデザインを変更する際は、相応の理由や視認性の維持が求められることが読み取れます。
バーガーキング
バーガーキングは、1954年にアメリカで創業したハンバーガーショップです。日本を含む世界100ヵ国に店舗を展開するバーガーキングも、過去に大胆なリブランディングを実施しています。
2013年、バーガーキングはフライドポテトをアピールするため、店名を「フライズキング」に変更。店名変更に伴い、ロゴマークもフライドポテトに変更しています。
しかしこのリブランディングを受け、消費者は困惑。単なるジョークだったのか真相は不明ですが、このリブランディングは大きな話題となることもなく、失敗に終わっています。
バーガーキングのリブランディングが失敗した要因は、リブランディングの軸が曖昧だったことです。本気とも冗談ともとれる中途半端な姿勢は、消費者を混乱させてしまいます。この事例からは、施策の目的やビジョンを明確に持つことの重要性を学ぶことができるでしょう。
GAP
GAPは1969年にアメリカで創業されたアパレルブランドです。1995年には日本にも上陸しており、現在では世界各国に約3,500もの店舗を展開しています。
GAPは「進化し続けるブランド」を訴えるため、2010年にリブランディングを決行。20年以上使ってきたロゴマークのリニューアルを行っています。
しかしこのリニューアルを受け、SNSでは批判が殺到。GAPはデザインを再考するために消費者に協力を呼びかけましたが、この対応が火に油を注ぐことになります。結果としてGAPは一週間も経たないうちにロゴマークを元に戻したものの、この騒動を受けて消費者からは「優柔不断な企業」「SNSに振り回される企業」というイメージを持たれるように。
新デザインに採用されているフォント「Helvetica」は、マイクロソフトやトヨタなどのロゴマークでも使用されており、デザインそのものが悪いとは言い切れません。GAPが世間の声に動じず、新たなロゴマークを掲げ続けていたら、新たなブランド価値として定着していた可能性もあります。
リブランディングに反発はつきものです。しかし、この事例からは「世間の声に振り回されていては成功は掴めない」という教訓を得ることができます。
日本企業のリブランディング失敗事例
続いて、日本企業のリブランディング失敗事例として、下記の3ブランドを紹介します。
- ローソン
- SHIRO
- ルナソル
ローソン
ローソンは、日本国内に約14,000店舗を構えるコンビニエンスストアです。2020年のローソンプライベートブランドにおけるリブランディングは、賛否両論を巻き起こしました。
ローソンの新パッケージは、ベージュカラーをベースに商品イラストを配置するという、従来の王道を外れたデザインでした。このデザインを受け、SNSでは「かわいい」「おしゃれ」という賛成意見と、「見分けがつきにくい」「食欲が湧かない」という反対意見が割れる結果に。
そして2021年4月には、パッケージデザインが大幅に調整されたことで、再び話題となりました。
新パッケージのデザインは、デザインとしての統一性やおしゃれさはあるものの、コンビニ利用客が求めている「必要な商品をすぐに見つけたい」「店頭でおいしそうな商品を探したい」という思いは反映されていませんでした。調整後のデザインは、統一感がありながら顧客の思いも反映されており、優れたデザインに成長したといえるでしょう。
SHIRO
SHIROは、2009年に設立されたコスメティックブランドです。素材にこだわる安心感やシンプルなデザインがユーザーに支持され、現在では全国に店舗を展開する人気ブランドに成長しています。
勢いに乗っているSHIROですが、ブランド設立10周年を迎える2019年にリブランディングを実施しており、あまりの変化にネットが炎上する騒動が起きています。最大の争点となったのは、SHIROのロゴマーク。小文字の「Shiro」は大文字の「SHIRO」となり、黒に近いネイビーがブランドカラーとなりました。
世界進出を目的に、存在感を引き立たせる大胆なイメージ改革を仕掛けたSHIROですが、ネット上では「ダサい」「改悪だ」などの声が続出。さらにリブランディングにあたり、人気商品を廃盤・期間限定化したことも批判の対象となりました。
これを受け、当時株式会社シロの代表取締役であった今井浩恵氏はリニューアルに関するお詫び文を公開。廃盤・期間限定化した商品の一部は再販が決まり、事態は収束しました。
ロゴやパッケージデザインの変更は、万人に受け入れられるとは限りません。しかしあまりに性急なリブランディングで顧客に戸惑いが生じるのも無理はないでしょう。リブランディングにおいては、顧客とコミュニケーションを取り、顧客の思いを汲むことも重要なポイントといえます。
ルナソル
ルナソルは、1999年に株式会社カネボウ化粧品が設立したコスメティックブランドです。とくに定番のアイシャドウパレットは上品な発色と仕上がりで人気が高く、20~30代の働く女性から支持を得ています。
ルナソルは、ブランド設立から20周年を迎えた2019年にリブランディングを決行。従来よりもファッション性を高めた新商品を展開しましたが、旧商品よりも1,000円以上値上がりしたことや、ナチュラル感が薄くなったことから不評の声が相次ぎました。
しかし2020年には新商品の「ルナソル アイカラーレーション」が大ヒット、2019年発売の「ルナソル スムージングジェルウォッシュ」もECストアで前年比19倍を売り上げたことから、価格の引き上げは長期的にみると成功しているとも捉えられます。
一度は「失敗」と言われたリブランディングでも、時が経てば新たな顧客が付き、ヒット商品が生まれることもあります。ルナソルの事例では、価格改定の難しさだけでなく、価格に合った顧客を呼び込むことの重要性を学ぶことができるでしょう。
リブランディング失敗事例から読み取る注意点
リブランディングの失敗事例を見てきました。最後に、これらの失敗事例から読み取れる注意点をおさらいしておきましょう。
- ブランドの評価されている部分を理解する
- デザイン性だけでなくユーザビリティにも考慮する
- ターゲット層以外のユーザーへの配慮を怠らない
ブランドの評価されている部分を理解する
リブランディングでは、まず既存のブランドの評価されている部分を正確に理解することが重要です。
たとえばコカ・コーラの事例では、愛飲者が評価していたコカ・コーラの味わいを大幅にリニューアルしてしまったことが、大きな損失につながっています。
顧客の好感度や認知度、ブランドに対する信頼度などを評価するマーケットリサーチや顧客インタビューを実施し、既存のブランドが持つ強みやポジティブな特徴を把握しましょう。すでに評価されている部分を理解することで、リブランディングの際にそれらを生かす方針を立てることができます。
デザイン性だけでなくユーザビリティにも考慮する
リブランディングにおいては、デザイン性だけでなくユーザビリティにも配慮することが重要です。新たなデザインが魅力的でも、使いにくく不親切な設計では、顧客離れやブランドの評判の悪化につながる可能性があります。
たとえばローソンの事例では、パッケージのデザイン性は高いものの、視認性が低いことで批判が相次ぎました。
ユーザーのニーズと利便性のどちらも考慮したデザインを採用することで、ブランドの評価と満足度を向上させることができます。
ターゲット層以外のユーザーへの配慮を怠らない
リブランディングでは、ターゲット層だけでなく、ターゲット層以外のユーザーにも配慮することが大切です。ブランドはさまざまな人々に影響を及ぼしますので、広い視野でアプローチすることが必要です。
たとえばドクターペッパーの事例では、ターゲット層としていなかった女性を排除したことで、社会的に大きな批判を浴びることになりました。
リブランディングを実施する際は、ターゲット層や既存顧客以外のユーザーにも気を配ることで、結果としてさまざまな層に受け入れられるブランドを作り上げることができるでしょう。
リブランディング失敗を防ぐには自社や顧客・市場の分析が不可欠
リブランディングの失敗事例から、失敗に陥る原因と注意点を紐解いてきました。
長く続いたブランドを変革する際は、必ずどこかで反発の声が生じるものです。しかし普段から顧客とのコミュニケーションを取り、顧客の声に耳を傾けていれば、新たなブランド価値を認めてもらえるでしょう。
リブランディングにおいては、ブランド内部の改革だけでなく、外側(=デザイン周り)の改革も必要です。リブランディングにあたってブランドサイトやコーポレートサイトのリニューアルを検討しているなら、デザインに強く、更新しやすいCMSの導入をおすすめします。
LeadGridは、操作性の高さとデザイン性を両立したクラウド型CMSです。コンテンツ編集はマウス操作とキーボード入力で行えるため、プログラミング知識がない方でも投稿を行えます。またデザイン面においては、LeadGridを開発・提供する弊社GIGが、貴社のブランド像をヒアリングしてWebサイトに落とし込みます。
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