リブランディングとは?目的や実施タイミング、進め方やポイントを解説
リブランディングとは?目的や実施タイミング、進め方やポイントを解説
「時代の変化とともに、ブランドの売上が停滞してきた」「商品の新鮮みがなくなってきた」
ブランド発足から5年、10年と時間が経過すると、このような悩みは自然と生じるものです。しかし、いざリブランディングを行おうと思っても、何から始めればいいか分からないと悩んでしまう広報担当者も少なくありません。
そこで本記事では、リブランディングの目的や実施すべきタイミング、施策の進め方など、リブランディングを実施するのに必要な事前知識を解説します。
リブランディングを成功させるためのポイントについても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
リブランディングとは
リブランディングとは、ブランドを時代や顧客に合わせて再構築することを指します。ここでは、リブランディングの目的とメリットについて、詳しく見ていきましょう。
リブランディングの目的
リブランディングの目的は、ブランドの利益を最大化することです。
どれだけ優れたブランドであっても、時代や社会の流れに対応できなければ顧客が離れていってしまいます。リブランディングによって新たなブランド価値を創出することで、一度停滞したブランドであっても継続して利益を上げていくことができるのです。
リブランディングのメリット
リブランディングのメリットは、下記の通りです。
- 新たな顧客層を獲得できる
- 顧客ロイヤルティが向上する
- ブランド価値が向上する
- 負のイメージを修復できる
- マーケットシェアを拡大できる
顧客の価値観や市場の大きさは、時代の流れとともに変化していきます。時代や社会に合わせてリブランディングを実施すれば、新たな顧客層の獲得や、市場の拡大につながるでしょう。またブランド価値が上がることにより、顧客ロイヤルティの向上も期待できます。
さらにリブランディングは既存ブランドで得たノウハウや設備を活かせるため、一からブランドを立ち上げるよりもコストを抑えられるメリットもあります。
リブランディングが必要な企業と実施するタイミング
以下のいずれかに該当する企業は、リブランディングを検討するとよいでしょう。
- 大手の参入などにより市場競争が激化した
- 競合との差別化ポイントがなくなった
- 顧客層の価値観が変化し、自社の強みが響かなくなった
- 不祥事などにより負のイメージを抱えてしまった
- 経営者や事業形態が変わった
とくに顧客や市場とのミスマッチを感じているときは、リブランディングを検討するタイミングです。新鮮さがなくなり、マンネリ化している商品・サービスほど、リブランディングが成功した際に得られる効果は大きくなるでしょう。
リブランディングはタイミングを見誤ると思うような効果を得られないため、時流を捉えることが重要となります。
リブランディングの進め方
リブランディングは、一般的に以下の流れで進められます。
- 現状を分析する
- ターゲットやブランドコンセプトを再定義する
- リブランディングの実行計画を立てる
- 計画に基づいて施策を実行する
- 改善と修正を繰り返す
各ステップを詳しく見ていきましょう。
1. 現状を分析する
リブランディングを進めるうえでまず取り組むべきは、現状を分析することです。ブランドの評価されている点や課題点、現在のポジションなど、ブランドの現状を知ることで「何を残して何を変えるべきか」が明確になるでしょう。
下記のように現状分析に有効なフレームワークを活用し、自社や自社を取り巻く環境を把握します。
フレームワーク | 概要 |
SWOT分析 | Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の4軸から現状を整理する |
3C分析 | Customer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の3軸から自社の立ち位置や強み・弱みを把握する |
PEST分析 | Politics(政治)・Economy(経済)・Society(社会)・Technology(技術)の4軸から自社を取り巻く経済情勢を捉える |
5フォース分析 | 下記5つの外部環境の脅威を分析し、市場での競争力を高めるための手段を見出す ・業界内での競争 |
バリューチェーン分析 | 原材料の調達から顧客に商品の価値(バリュー)が届くまでの一連のプロセスを連鎖(チェーン)と捉え、内部環境を自己分析する |
2. ターゲットやブランドコンセプトを再定義する
現状分析によってブランドの評価されている点や問題点を洗い出したら、次にターゲットやブランドコンセプトの再定義を行います。
たとえば、ある20代向けのファッションブランドには、以下のような問題が生じていました。
- ブランドリリース時の顧客が年齢を重ねてターゲットから外れてしまった
- 求めるターゲット(20代)の新規獲得が思うようにできていない
このケースでは、ターゲットを30~40代に再設定し、ブランドコンセプトを「大人向けの日常着」に変更したことで、ブランドリリース時の顧客を再度抱え込むことに成功しています。
ただし、ターゲットやブランドコンセプトは、ただ変更するだけでは不十分です。ブランドの理念やミッションを明確にし、「残す部分は残す、変えるべき部分は変更する」というように、軸を持って変革を行うことがリブランディングにおける重要なポイントとなります。
3. リブランディングの実行計画を立てる
ターゲットやブランドコンセプトの再定義ができたら、次は具体的な実行計画(=戦略)を立てます。
リブランディングの戦略立案では、KGI(最終的なゴール)とKPI(中間目標)を設定し、いつまでに何を達成するかを可視化することが重要です。たとえば「SNSのフォロワー●万人」「ブランド認知度●%」「顧客満足度●%」など、数値で測れる目標を設定し、目標を達成できているか定期的に確認しましょう。
またKGI・KPIは各部署まで落とし込み、従業員全体でブランドを変革していく意識を持つことが大切です。
4. 計画に基づいて施策を実行する
リブランディングの計画を立てたら、計画に基づいて施策を実行していきます。新しいブランドをどのように訴求するかはブランドのターゲットや特性によって異なるため、自社に合わせて適切な方法を選びましょう。
下記はリブランディングを実施する際、検討すべき項目の一例です。
- 広告媒体の選定
- コピー・ロゴの作成
- Webサイトの作成
- プレスリリースの作成
- 動画コンテンツの作成
- SNSアカウントの立ち上げ
- イベントやセミナーなどの企画
5. 改善と修正を繰り返す
新たなブランドを浸透させるには、年単位の期間が必要です。リブランディングに着手したあとは効果測定と改善を繰り返し、徐々にイメージを浸透させていきましょう。
リブランディングの効果測定には、下記の方法が挙げられます。
- サーチリフトの測定:広告を出したあとにブランド名や製品名などの検索率がどれくらい上昇したか測定する方法。Googleサーチコンソールを使用し、検索ボリュームや表示回数、クリック数などを確認する
- 新規接触率の測定:広告を通してブランドを知った人の割合を算出する。「新規接触率(%)=新規リーチUU(ユニークユーザー)÷各媒体の接触UU」で求められる
- SNSエンゲージメント数の集計:TwitterやInstagramなどの「いいね」「返信」「シェア」の数を集計し、ユーザーの関心度合いを測定する
リブランディングのポイント5つ
リブランディングを実施する際は、下記のポイントを意識することが大切です。ポイントを押さえ、効率的に施策を実行していきましょう。
- 目的を明確化する
- 市場と顧客の理解度を深める
- 既存のブランド価値を生かす
- 中長期的な計画を立てる
- デザイン部分だけの改革では不十分
目的を明確化する
リブランディングを実施する目的は明確に定義しましょう。
- 市場での競争力向上
- 新しい顧客層の獲得
- 企業のビジョンや方向性の再定義 など
目的を明確化することで、リブランディングの方向性が定まります。ブランドがどのような変化を求めているのか、何を達成したいのかがはっきりすることで、初めて戦略的な計画を立てることができるのです。
また目的の明確化は、組織のメンバーに対して方向性を伝える役割も果たします。リブランディングは組織全体の取り組みであり、関係者が目標に向かって協力して行動する必要があります。明確な目的は、組織内の一体感を醸成し、チームの努力を統一するためにも必要です。
市場と顧客の理解度を深める
リブランディングにおいて、市場と顧客を深く理解することは非常に重要です。
顧客の変化するニーズに対応するためには、市場トレンドや顧客の期待を的確に把握する必要があります。顧客に求められている価値や、社会的に関心が高い事柄を理解することで、リブランディングにおいて魅力的で意義のあるブランドを構築することができるでしょう。
お客様アンケートやブランド認知度調査なども活用し、客観的な視点でブランドの立ち位置を見つめることが大切です。
既存のブランド価値を生かす
既存のブランドは、長年の努力や投資によって築かれた基盤です。リブランディングにおいては、既存のブランド価値を踏まえつつ新しいデザインや要素を取り入れることで、既存の顧客との関係を保ちながら、新たな客層の獲得を見込めるでしょう。
またブランドイメージの構築や市場進出には大きな費用や労力がかかる場合がありますが、既存のブランド価値を生かすことができれば、ブランド再構築における経済的効率性を高めることができます。「残すべきところは残す、変化させるべきところは思い切って変化させる」と取捨選択を行うことで、顧客との関係維持だけでなく、コスト面でも有利になるでしょう。
中長期的な計画を立てる
リブランディングで早く成果を上げたいからと短期的な計画を立ててしまうと、組織の連携が図れなかったり、短期的な視野による判断ミスが起きたりと、さまざまな不具合が生じてしまいます。
すでに広く認知されているブランドほど、新しいイメージは浸透しにくいものです。ブランドの変革には時間がかかるため、具体的な目標とスケジュールを設定し、段階的なアプローチを採用しましょう。計画を段階的に進めることで、予算や人員の配分を最適化し、必要なリソースを適切に割り当てることができます。
デザイン部分だけの改革では不十分
リブランディングは単にデザインの改革だけでなく、ブランドの全体像やコミュニケーションの再構築を含む包括的な取り組みが必要となります。
たしかにデザインはブランドの重要な要素の一つです。しかしデザインだけを変更しても、ブランドの核となる価値観やストーリー、コミュニケーションスタイルなどが変わらなければ、顧客に一貫性のあるブランド体験を提供することはできないでしょう。
他社との差別化や、ブランドとしての信頼性や持続性を築くためにも、リブランディングを実施する際は「ブランドの中(コンセプトやターゲット)から外(デザイン周り)」の順番で改革を行うことが大切です。
リブランディングの成功事例|株式会社湖池屋
最後に、リブランディングの成功事例として、株式会社湖池屋のケースを紹介します。
株式会社湖池屋は、1967年に日本で初めてポテトチップスの量産化に成功したお菓子メーカーです。同社はポテトチップスの販売に加えて「カラムーチョ」「スコーン」「ドンタコス」などのヒット商品を次々と販売してきましたが、主力商品であるポテトチップスのコモディティ化に伴い、市場の停滞と低価格化にさらされていました。
そこで2016年にコーポレートブランドの再編を決定。「ポテトチップスの老舗」のポジションを確立するために、企業ロゴや社屋、スローガン、社章、名刺など、数多くのものを「老舗」「伝統的」といったイメージのデザインに刷新しています。
こうして2017年2月に誕生した新商品「KOIKEYA PRIDE POTATO」は、既存のスナック菓子にはない洗練されたパッケージデザインや高い品質が評価され、年間40億円を達成する大ヒット商品となりました。アイスクリームやチョコレートなど、ほかの食品市場でのお菓子のプレミアム化を見逃さず、自社に展開させることで差別化に成功したリブランディング事例です。
リブランディングの事例については、下記の記事でも紹介しています。
関連記事:リブランディングの成功事例13選|実践して成果を出すポイントも解説
関連記事:リブランディングの失敗事例を紹介|8つの事例から読み取る注意点とは
リブランディングを実施してブランドの価値を高めよう
リブランディングを実施してブランドの価値を高めることは、競争が激化する市場において成功するための重要な戦略です。既存のブランドの信頼や連続性を保ちながら新たな方向性に進むことで、顧客との関係を強化し、ブランドの成長を促進することができるでしょう。
しかしリブランディングは一朝一夕で実現できるものではありません。リブランディングはデザインだけの改革ではなく、ブランドの全体像や戦略の再構築を含む継続的な取り組みが求められます。ブランドの特性や顧客・市場の変化に合わせて、適切な施策を選択していきましょう。
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