インバウンドマーケティングとは?メリットや実践方法4ステップを解説
インバウンドマーケティングとは?メリットや実践方法4ステップを解説
インバウンドマーケティングとは、SNSやオウンドメディアなどで情報発信を行うことでユーザーと接点を持ち、顧客まで育成するマーケティング手法です。
温度感の高いリードを獲得し、営業活動を効率化する方法として注目されています。
この記事では、インバウンドマーケティングの概要と注目される背景、メリット、実践方法について解説します。
インバウンドマーケティングとは「見つけてもらう」手法
インバウンドマーケティング(inbound marketing)とは「有益な情報の発信によりユーザーを惹きつけ、購買意欲を育成して顧客になってもらう」マーケティング手法を指します。
「企業が伝えたい情報」をマス広告などで発信する従来のマーケティング手法とは、正反対の手法と言えるでしょう。
インバウンドマーケティングの4つのステージと手法
インバウンドマーケティングの特徴は、顧客主体でのマーケティング展開です。
- オウンドメディアでユーザーの課題解決に役に立つ情報を発信する
- ウェビナーで近年の市場動向について説明する
- 見積シミュレーターで費用の概算がいつでもできるようにする
上記のような方法で、ユーザーの自発的な行動を喚起します。
またインバウンドマーケティングの具体的な手法は、マーケティングのステージによって次のようにわけられます。
ステージ | 効果的な手法 |
1. ATTRACT |
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2. CONVERT |
|
3. CLOSE |
|
4. DELIGHT |
|
インバウンドマーケティングの事例
インバウンドマーケティングの理解をより深めるために、LeadGridがご支援した事例を紹介します。
産業用特殊ポンプや航空宇宙期部品などを手掛ける日機装株式会社は、自社の技術と自社で働く人にスポットを当てたオウンドメディア「Bright」を制作しました。
専門的かつ高度な技術力と経験をもつ一方で、認知度の低さに悩んでいた同社。そこで、オウンドメディアによって専門的なテーマをわかりやすく伝えるコンテンツを発信し、潜在顧客(企業)からの認知向上を図ることにしました。
メディアリリース後は、いままでとは異なる層の求職者から応募があるなど、採用活動にも良い影響が出ているそうです。
技術を探している企業担当者の目線に立ち、彼らが検索するであろうキーワードを糸口として接点を作る手法は、まさにインバウンドマーケティングのお手本と言えるでしょう。
アウトバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングとの違い
インバウンドマーケティングとよく並んで紹介される用語として、次の2つがあげられます。
- アウトバウンドマーケティング
- コンテンツマーケティング
上記とインバウンドマーケティングとの違いを紹介します。
アウトバウンドマーケティングとの違い
アウトバウンドマーケティング(outbound marketing)とは、テレビCMなどのマス広告や飛び込み営業といった従来のマーケティング手法を指す用語です。具体的には、以下のような手法が該当します。
- 電話でアポを取って訪問営業する
- 展示会でセールストークを行う
- リスティング広告を運用する
アウトバウンドマーケティングの特徴は、企業がユーザーへ伝えたい情報を、企業側からプッシュする形で発信すること。ユーザーが見つけてくれるのを待つインバウンドマーケティングとは、真逆の手法と言えるでしょう。
コンテンツマーケティングとの違い
コンテンツマーケティングとは、記事や動画といったコンテンツを介して顧客とコミュニケーションを取っていくマーケティング手法です。コンテンツ以外も広く活用するインバウンドマーケティングとは、用いる手法の幅に違いがあると言えるでしょう。
とはいえ、インバウンドマーケティングでもコンテンツは不可欠です。よって、コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングは、ほぼ同じ意味として扱う場合もあります。
ちなみにコンテンツマーケティングも、オウンドメディアマーケティングやホワイトペーパー施策といった「手法にフォーカスしたマーケティング手法」を内包しています。各手法について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
関連記事:コンテンツマーケティングとは?メリットや手順、成功事例と注意点も解説
関連記事:ホワイトペーパー施策って本当に効果あるの?LeadGridのリアルな事例紹介
関連記事:オウンドメディアとは|運用する目的や活用事例、作り方とコツも解説
インバウンドマーケティングが注目される背景
インバウンドマーケティングが注目され始めたのは2010年前後、HubSpot社が提唱したのがきっかけです。その後、多くの企業がインバウンドマーケティングに取り組むようになりました。
インバウンドマーケティング流行の背景には、次の理由があります。
- アウトバウンドマーケティングに限界がきている
- 顧客の購買行動が変化した
- プッシュ型アプローチの入り込む余地が減っている
アウトバウンドマーケティングに限界がきている
まず挙げられるのが、マス広告やネット広告といった広告形態へのユーザーの不信感です。
2009年4月にニールセンが行った広告形態別の信頼度調査によると、「知人からのおすすめ」は90%、「オンラインの口コミ」は70%のユーザーが、その内容を信頼すると回答しました。対して「テレビCM」の信頼度は62%。オンラインの広告にいたっては、半数以上が信頼しないという結果でした。
また、2022年7月にアットフリークが発表した企業ブランドに関する認識調査でも、回答者の60%が「口コミ」によりブランドへの信頼性が上がると回答しています。
そもそも、ユーザーが見込み客になり、さらに顧客になってくれるには、企業、ブランド、商品・サービスへの信頼が不可欠です。しかし、テレビCMを含むアウトバウンドマーケティングだけでは、ユーザーの信頼獲得が難しくなっているのです。
顧客の購買行動が変化した
インターネットの普及により、情報収集のハードルが下がり、欲しい情報は自ら探すユーザーが増えました。テレビCMなどで商品やサービスを認知しても、すぐに購入はせず、企業サイトやSNSの口コミをチェックするのが当たり前になりつつあります。
この傾向はBtoBも同様です。意思決定に必要な情報の多くをあらかじめインターネットで取得し、購入先の候補を絞ってから検討したい企業へ問い合わせる、といったケースが増えています。
オンラインで積極的な情報開示を行っていない企業は、知らないうちに機会損失を増やしている可能性があるのです。
プッシュ型アプローチの入り込む余地が減っている
情報流通量が増え、ユーザーの可処分時間の奪い合いが激化しました。これにより、ユーザーの時間に割り込むプッシュ型アプローチが効かなくなってきています。
「テレビ視聴中にCMが入ったので、SNSを見る」といった経験はないでしょうか? 次のテレビ番組が始まるまでCMを眺める時代では終わり、一方的にユーザーの時間を奪うプッシュ型のアプローチは、ただのノイズの側面が強くなっています。
一方、プル型アプローチであるインバウンドマーケティングならば、ユーザーが必要性を感じたタイミングで接触できます。「その情報を知りたい」が大前提になるため、ノイズとして無視されるリスクが低く、効果的なアプローチが可能です。
インバウンドマーケティングのメリット
インバウンドマーケティングを実施するには、情報発信の拠点となるWebサイトの用意、コンテンツ制作、SNSアカウントの開設などが必要になります。これまで情報発信を行ってこなかった企業からすると、負担に感じる部分もあるでしょう。
しかし、インバウンドマーケティングには次のようなメリットが期待できます。
- コスト削減につながる
- コンテンツが資産になる
- データを取得・分析しやすい
コスト削減につながる
インバウンドマーケティングは、おもに自社のWebサイトやSNSなどで情報発信を行い、その情報をユーザーが見つけてくれるのを待ちます。よって、高額な広告出稿費はかかりません。
たとえばネットの広告運用費用は15万円〜30万円/月は必要です。しかし、SNS運用なら5万円〜10万円/月から外注できます。もちろん、社内のリソースをあてる場合は人件費のみです。
またマーケティングによって育成した見込み客のうち、購入意欲の高いホットリードを選んで営業をかけられるため、営業活動の効率化にもつながります。
コンテンツ制作や運用の手間がかかりますが、インバウンドマーケティングが成功すればトータルでコスト削減が期待できるのです。
コンテンツが資産になる
広告の場合、どれだけクリエイティブ制作に力を入れても出稿期間が終われば消えてしまいます。一方、インバウンドマーケティングで制作したコンテンツは自社の資産となり、長期的なマーケティング効果が発揮します。
たとえばSEO記事で上位を獲得できれば、そのキーワードで検索する人が存在し続ける限り、その記事は恒久的に集客してくれるでしょう。
リライトなどのメンテナンスコストが必要だとしても、広告を出稿し続けるより低コストで集客が続けられます。
データを取得・分析しやすい
マーケティングに必要なデータを取得しやすい点も、インバウンドマーケティングのメリットです。
マス広告や看板広告などは、実際にどのような層に広告が認知され、その結果どのような行動を喚起したのかが捉えきれません。売り上げの変化などを元に、広告の効果を推測するしかないでしょう。
オンライン施策がメインとなるインバウンドマーケティングなら、施策の集客効果やCV率といったデータが分析ツールで容易に取得できます。顧客ニーズへの最適化や施策の改善がスピーディーに実施できるのです。
インバウンドマーケティングの実践方法4ステップ
インバウンドマーケティングの実践方法を、以下の4ステップで解説します。
- インバウンドマーケティングの目的の設定
- 現状のマーケティング施策を把握
- マーケティング戦略の決定
- 実行・改善
1. インバウンドマーケティングの目的の設定
まずはインバウンドマーケティングを行う目的を設定します。たとえば以下のような目的が考えられるでしょう。
- 営業活動の効率化
- 採用活動の強化
- ECサイトの売上向上
もしこの時点で数値目標や分析指標が明確にできると、あとの戦略がより立てやすくなります。
コスト削減を目的にアウトバウンドマーケティングから切り替えたい場合も、インバウンドマーケティングで「どこまでやるのか」を具体的に決めることが重要です。商品認知〜成約まですべてインバウンドマーケティングで完結できるビジネスは限られます。自社にあった線引を考えましょう。
2. 現状のマーケティング施策を把握
理想とする状態から、いまのマーケティングがどれだけ乖離しているか現状把握を行います。
- いまのマーケティング活動の内容とそのパフォーマンス
- 顧客管理ツールなどの導入状況
- 市場環境や現場の声
上記を整理しましょう。
たとえば「ブランドのリピーターを増やす」という目的設定があり、現状が購入後のサポートをまったく行っていない場合は、会員向けサービスやヘルプデスクの構築などが必要になるでしょう。
現状把握によって、施策の方向性、施策の優先順位、必要なリソースが見えてきます。
3. マーケティング戦略の決定
ターゲットを設定し、購入までの検討フェーズに合わせたマーケティング戦略を決めます。
このとき具体的なターゲット像としてペルソナ設計を行うと、効果的な戦略の立案に役立ちます。詳細や設計方法については、ペルソナ設計入門ガイドをご用意しましたのでお役立てください。
マーケティング戦略では、商品認知〜成約にいたるまでのターゲットの意思決定プロセスを整理し、各段階でどのようにターゲットと接触していくかを考えます。この際、ターゲットとのコミュニケーション方法を図示したカスタマージャーニーマップを作成するのがおすすめです。
カスタマージャーニーマップについては、下記をご参照ください。
4. 実行・改善
戦略に沿って施策を実行します。
ただし、マーケティング施策はすぐに効果が出るとは限りません。方向性が間違っている場合は軌道修正が必要になるため、最初から多額の予算を投下するのは慎重になったほうが良いでしょう。完璧な戦略だと思っても、ユーザーが意図した通りに反応してくれない可能性を想定して動くべきです。
顧客の反応を見ながら少しずつPDCAを回せる体制作りが、インバウンドマーケティングの成功へとつながります。
インバウンドマーケティングで事業拡大を実現しよう
人々の購買行動が変化し、顧客の悩みや課題に寄り添った情報提供が求められる時代になりました。企業が事業成長を実現する方法として、インバウンドマーケティングの重要性が増しています。
とはいえ、インバウンドマーケティングも取り組めば必ず成果が出るとは限りません。担当者ベースで小さなPDCAを回し、細かな改善を積み重ねる必要があります。
もし、インバウンドマーケティングの拠点となるWebサイトの構築をお考えなら、ぜひSaaS型CMS「LeadGrid」をご検討ください。
LeadGridはランディングページをノーコードで、プレビューを見ながらコピーの編集が可能な「見たまま編集」機能やホワイトペーパーなどの資料をダウンロードするための入力フォームがノーコードでカスタマイズできる機能など、担当者ベースでPDCSを回しやすいCMSです。
他にもインバウンドマーケティングに必要な下記の機能が揃っています。
- ブログ記事投稿、編集機能
- 顧客管理機能
- 資料ダウンロード機能
- イベント管理機能 など
LeadGrid BLOG編集部は、Web制作とデジタルマーケティングの最前線で活躍するプロフェッショナル集団です。Webの専門知識がない企業の担当者にも分かりやすく、実践的な情報を発信いたします。
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