参考にしたい営業戦略の具体例7つ|成功のポイントと役立つフレームワーク
ビジネスを成功させるうえで重要なのは、長期的な視点で営業戦略を立て、計画的に取り組んでいくことです。しかし、「どのような営業戦略が有効なのかわからない」「革新的なアイデアが思い浮かばない」と、営業戦略の立案に課題を感じている企業は少なくありません。
営業戦略の立案には、企業成功事例の活用が有効です。成功を収めている戦略を自社に落とし込むことで、成果につながる営業戦略を効率的に考案できるようになります。
本記事では、参考になる営業戦略の具体例を紹介します。企業事例を参考にしつつ、自社ならではの戦略を探っていきましょう。
営業戦略とは
営業戦略とは、売上向上や市場シェア拡大などの目標を実現するために定めた、営業活動に関する長期的な計画です。市場やターゲット、商品・サービス、販売方法などについて考えて戦略的に実施することで、他社との差別化を図ります。
営業戦略は、企業の経営や業績と大きな関連性があるため、慎重に練り上げる必要があります。また、変化の早い市場や顧客ニーズに対応するために、PDCAサイクルを回して常により良い営業戦略に磨き上げることも重要です。
なお、営業戦略を実行する手段や方法を具体的に定めたものを「営業戦術」と呼びます。営業戦略で長期的な見通しを立て、営業戦術で中短期的な施策について練る、という流れが一般的です。
営業戦略の成功事例集7選
営業戦略を立案するときは、他社の成功事例の活用がおすすめです。営業戦略の成功パターンを知っておけば自社の戦略に役立てられますし、新しいアイデアのヒントになります。
ここでは、魅力的な営業戦略で成功を収めた企業の事例を紹介します。ぜひ、自社の営業戦略に活かせるアイデアをみつけてみてください。
スターバックス
スターバックスは、上質な顧客体験を提供する営業戦略で成功を収めた企業です。
目指したのは、家庭や職場以外の居場所となる「サードプレイス」。おいしいコーヒーやフードだけではなく、インテリアや接客、居心地のよい空間作りにも力を入れています。
さらに、地域ごとの店舗デザインの導入や四季折々のオリジナル商品販売など、何度も訪れたいと思わせる工夫が満載。
ビジネス・プライベートを問わず多くの人に愛され、独自のブランディングに成功しています。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
人気テーマパークであるユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、経営戦略の大幅な変更によりV字回復を果たしました。
開園当初はハリウッド映画ファンをターゲットにしていましたが、来場者数は低迷。そこで、大人から子どもまで集客できるように、映画だけではなくさまざまなエンターテイメントを楽しめるようにコンセプトを変更しました。
話題の作品とのコラボレーションや園全体を巻き込んだフラッシュモブの実施など、ここでしかできない体験を提供し、熱狂的なファンの獲得に成功。当初は大人の来場者がメインでしたが、今ではファミリー層や若年層の顧客を多く獲得しています。
クラウドワークス
クラウドワークスは、クラウドソーシングプラットフォームの提供で成功を収めています。
従来、オンラインでマッチングできる仕事は「低単価で簡単にお小遣い稼ぎをするためのもの」というイメージがありました。しかしクラウドワークスは、オンラインでも生計を立てられるような案件の提供に注力。
自宅でもしっかりと稼げる仕組みは、クリエイターや在宅ワークを希望する人から大きな支持を得ています。また、企業側は人材採用のコストを削減できるため、働く人と会社の両方にメリットをもたらしています。
営業戦略と副業や多様な働き方への注目が集まりつつあった時代の流れがマッチし、今では日本最大級のクラウドソーシングサービスへと成長しました。
アスクル
アスクルは、「明日来る」というコンセプトのもと、中小企業をメインターゲットに事務用品や医療用品などを販売しています。
アスクルの営業戦略は、ターゲットの絞り込みや分析を緻密に行っている点が特徴的です。中小企業の総務担当者が事務用品の購入を頼まれるシチュエーションを研究し、それにあわせて商品ラインアップを決めています。
さらに、企業の枠を超えたコラボレーション企画の実施やビッグデータの活用により、顧客の購買意欲をかき立てる戦略を実施。ターゲット層が必要とする商品を必要なタイミングで届けるという、基本的な戦略を成功させている事例です。
ジャパネットたかた
通信販売大手ジャパネットたかたは、商品の付加価値向上とターゲティングに注力した営業戦略で成功を収めています。
ジャパネットたかたでは型落ち商品を安く仕入れ、セット販売などで付加価値を向上。さらに、インターネット通販や家電量販店が取りこぼしている顧客層をターゲットに絞り、テンポのよい説明や豊富な情報量で顧客の心をキャッチしています。
商品の価格は必ずしも安いとはいえませんが、ターゲティングやブランディングの成功により不動の地位の確立に成功しました。ECユーザーが増えた現代において、順調に収益向上を実現しています。
丸亀製麺
セルフうどん店の丸亀製麺は、自社の強みを前面に押し出した営業戦略で顧客獲得に成功しています。
CMを使い、全店舗に製麺所を設置していることを積極的にアピール。いつでも打ち立てを食べられること、そして商品の魅力を伝えることで、外食の選択肢として選ばれにくかったうどんの地位を向上させました。
豊富な期間限定メニューや新体験のシェイクうどんの提供など、楽しめる食体験を提供している点も多くのファンを惹きつける要因となっています。
マクドナルド
マクドナルドは、さまざまなマーケティング手法を営業戦略に取り込み、成功を収めています。
基本となるのは、競合他社よりも価格を下げて競争優位性を確保する戦略。商品やサービスを安く提供しつつ、一定の利益率を維持する仕組みを構築しています。また、「早くて安い」という地位を確立し、さまざまな層の顧客獲得に効果を発揮しています。
近年は低価格商品に加え、中価格商品にも注力してニーズの拡大にも対応。人気コンテンツとのコラボレーション戦略も積極的に取り入れ、日本ファーストフード業界におけるトップシェアを維持しています。
営業戦略を成功させる6つのポイント
営業戦略を練るときは、目的や市場状況、顧客ニーズをしっかりと分析し、自社の強みを最大化する方法を導き出す必要があります。
自社ならではの営業戦略を立案して成果につなげるためにも、以下のポイントを意識しましょう。
営業の目的を明確化する
自社の営業課題を整理する
顧客理解を深める
自社と市場を分析する
営業戦略を立案する
立案した戦略の実行・結果に応じて改善する
ここからは、各ポイントの詳細を説明します。
営業の目的を明確化する
まずは、営業戦略の目的を明確にしましょう。営業戦略により「何を・いつまでに・どうしたいのか」を定義します。この際、目的をできるだけ具体的に言語化することが大切です。
「1年後までに売上を今の〇倍にする」「5年で業界シェア率を〇%まで向上させる」など、定量的な内容にすると成果を計測しやすくなります。
自社の営業課題を整理する
次に、自社の課題を整理しましょう。目指している姿と現状を比較し、「どれほど乖離しているのか」「何が不足しているのか」「どうすれば補えるのか」を整理していきます。
例えば、売上アップを目標に設定したとしましょう。この場合は、リード数の不足や商談成功率の低さが課題として考えられます。課題がわかれば、今後の営業戦略で強化していくべきポイントが明確になるでしょう。
ここで意識したいのは、客観性の高いデータを用いて論理的に課題を導き出すことです。勘や経験など、主観的な考えに影響されないように注意しましょう。
顧客理解を深める
営業戦略の立案で特に重要となるのが、顧客理解を深めることです。営業戦略を成功させるためには、顧客の課題やニーズに沿った商品・サービスの提供が欠かせません。
顧客理解の促進には、ユーザー像を詳しく設定する「ペルソナ設計」と、顧客体験や自社との接点を可視化する「カスタマージャーニーマップの作成」が効果的です。顧客の特徴や行動、心理的な変化を整理できれば、ニーズを満たす施策のヒントになります。
顧客理解を深める際は、自社顧客データを活用しながらターゲットの策定やスコアリング、行動分析を実施しましょう。すでに自社と契約している人・企業の情報を活用すれば、精度の高い顧客分析が可能となります。
無料配布資料「ペルソナ設計入門ガイド」では、LeadGridチームが開催するペルソナ設計のワークショップ手法をまとめており、実践的な内容となっております。これからペルソナを深掘りする方はぜひ下記より無料でダウンロードしてご活用ください。
自社と市場を分析する
自社と市場を分析することも、営業戦略の立案には欠かせません。ここで分析しておきたいのは、次の2つの要素です。
内部環境:活用できる自社のリソースや強み
外部環境:市場の状況や市場における自社の立ち位置
自社を取り巻く環境を把握できれば、その時々に応じた戦略を選定しやすくなります。外部環境は常に移り変わるため、現状をしっかりと把握して柔軟に対応することが大切です。
営業戦略を立案する
ここまでの準備が終わったら、分析した顧客のニーズと自社、市場の状況をふまえて戦略を立てましょう。
営業戦略の立案では、「誰が・どのような手法で・誰に・何を・どうやって売るのか」を考えます。自社のリソースや技術面をふまえ、実際に実現可能な戦略を立てることが大切です。戦略によっては、外部の業者との連携が必要になることもあります。
また経営戦略を策定するときは、スケジュールやKPIの決定も忘れずに行っておきましょう。あらかじめ具体的な計画を立てておけば、進捗や問題点を把握しやすくなります。
立案した戦略を実行・結果に応じて改善する
営業戦略を立てられたら、あとは施策を実行するのみです。
どれほど綿密に練られた戦略であっても、はじめから計画通りに進めることは困難です。計画の実行後は評価を行い、問題があれば改善を繰り返す「PDCAサイクル」の実施が重要となります。
場合によっては、大きな方向転換や計画の中止が必要になることもあるでしょう。ビジネスで成果を出すには根気強い取り組みが欠かせませんが、ときには思い切った判断でリスクマネジメントをすることも大切です。
最初に立てた戦略にこだわり過ぎず、臨機応変な対応を心がけましょう。
営業戦略の立案に役立つフレームワーク
営業戦略を立案するときは、枠組みに沿って情報や思考を整理する「フレームワーク」の活用が効果的です。
精度の高い戦略を練るためにも、以下の4つのフレームワークを押さえておきましょう。
3C分析
SWOT分析
4C分析
4P分析
各フレームワークの詳細を説明します。
3C分析
3C分析は、自社を取り巻く市場の環境整理に有効なフレームワークです。競合や外部環境を分析することで、事業の成功要因(Key Success Factors)を導き出せます。
3C分析で分析する項目は、具体的に次の3つです。
Customer(顧客):顧客は誰なのか、ニーズは何なのか
Competitor(競合):競合他社の状況や評価、強みと弱み
Company(自社):自社が受けている評価、強みと弱み
各要素の分析が完了したら、その内容を整理して事業の方針や施策案に反映させます。
なお、顧客や市場は常に移り変わっているため、3C分析は素早く行うことが大切です。分析に時間をかけすぎて時代遅れな戦略を立ててしまわないよう、十分に注意しましょう。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を把握するためのフレームワークです。既存事業の強みや改善点、新規事業のチャンスや将来的なリスクを発見できるため、今後の営業戦略の指針を見つけられます。
SWOT分析で分析する項目は、次の4つです。
【外部環境】
Opportunity(機会):自社にとってチャンスとなる市場の変化や競合の動き
Threat(脅威):自社にとって脅威となる市場の変化や競合の動き
【内部環境】
Strength(強み):自社の強みや差別化ポイント
Weakness(弱み):自社の弱みや欠けているポイント
上記の4項目を分析できたら、それぞれの項目を掛け合わせた「クロスSWOT分析」を行います。
強み×機会:自社の強みを活かし、事業成長につなげる機会を考える
強み×脅威:自社の強みを活かし、脅威を回避する方法を考える
弱み×機会:自社の弱みを補い、チャンスにつなげる機会を考える
弱み×脅威:自社の弱みを理解し、それによる脅威を回避する方法を考える
SWOT分析は、顧客視点で考えたり従業員に意見を聞いたりと、多角的な視点を取り入れて実施すると効果的です。第三者の意見も聞きながら、客観的に分析を行いましょう。
4C分析
4C分析は、顧客が商品を選択・購入するときに影響する4つの要素を整理するフレームワークです。
4C分析は、顧客の目線に立って情報を整理できる点が大きなメリットです。顧客ニーズに沿った商品・サービスの提供や、付加価値を高めて他社と差別化するための戦略立案に役立ちます。
4C分析で分析する項目は、次の4つです。
Customer Value(顧客価値):品質や機能、ブランド力など、顧客が感じる価値
Cost(コスト):商品の価格や購入にかかる時間・交通費
Convenience(利便性):商品の購入しやすさ
Communication(コミュニケーション):顧客にとって最適なコミュニケーション手段・内容
顧客目線で情報を整理する4C分析は、後述する4P分析と一緒に実施するとより高い成果を得られます。
4P分析
4P分析は、企業目線でマーケティング施策を立案するためのフレームワークです。「マーケティングミックス」と呼ばれることもあります。
状況を客観的に把握できるため、整合性の高い戦略の立案を手助けしてくれます。また、マーケティングに必要な項目を網羅でき、情報や思考の整理がスムーズになる点も大きなメリットです。
4P分析で分析する項目は、次の4つです。
Product(製品):何を売るのか
Price(価格):いくらで売るのか
Place(販売・流通方法):どうやって売るのか
Promotion(販促活動):どうやってプロモーションするか
なお、サービス業における営業戦略の立案には、4P分析に以下の3つのPを加えた7P分析も有効です。
People(人):スタッフと顧客はどう関わるのか
Process(業務販売プロセス):購入までのプロセスをどうするか
Physical(物的証拠、安心保証):どうやってサービス価値をアピールするのか
それぞれのPは密接に関わり合っているので、バランスを考えながら戦略に反映していく必要があります。分析後は、その結果に「矛盾がないか」「バランスがとれているか」を振り返っておきましょう。
自社にあった営業戦略で事業成長を目指そう
長期的な目的を実現するために定める「営業戦略」は、自社の課題や顧客ニーズ、市場環境などをしっかりと理解したうえで練り上げることが大切です。
営業戦略の企業事例を知っておくと、新しいアイデアや成功パターンの発見につながります。ぜひさまざまな企業の事例に目を通して、参考になるポイントを見つけてみてください。
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