Movable Typeとは?特徴やWordPressとの違いを解説
Movable Type(ムーバブルタイプ)は日本のシックスアパート社が提供する老舗CMSです。クラウド型とパッケージ型の2つがあり、高セキュリティでアクセス負荷に強いサイトが構築できるCMSとして定評があります。
本記事ではMovable Typeの概要と特徴、WordPressとの違いを解説します。Movable Typeがおすすめなケースについても紹介しますので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
なお、「CMSの種類が多すぎてどのCMSから検討していいかわからない」という方向けに、強み・特徴別にCMSをマッピングしたカオスマップを下記から無料でダウンロードできます。譲れない要件や機能が決まっている方はぜひご活用ください。

Movable Type(ムーバブルタイプ)とは?
▲出典:Movable Type
Movable Type(ムーバルブタイプ)は、日本のシックス・アパート株式会社が開発・提供している国産の商用CMSです。MTと略されることもあります。
もとはアメリカのシックス・アパート社が開発したソフトウェアでしたが、バージョン5から日本のシックス・アパート社がメインとなって開発を続け、国産CMSとしての地位を確立させました。
セキュリティの高さとアクセス負荷耐性に定評があるCMSで、とくに大企業、官公庁、大学などのサイトで導入されています。
近年は最新版の「Movable Type 7」がリリースされ、ユーザー側が自由にコンテンツをコンポーネント化して再利用できる機能が付きました。「Movable Type 6」から搭載されているData API とあわせ、ヘッドレスCMSとしての利用も可能になっています。
ヘッドレスCMSについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:ヘッドレスCMSとは? 特徴、メリット・デメリット、主要ツール7選
なお、無料お役立ち資料「CMS比較一覧表」ではBtoB企業向けCMSを制作したいサイト種別ごとに機能で比較できるような一覧にまとめました。ぜひ下記より無料でダウンロードして比較検討にお役立てください。

国産商用CMSとして企業サイトの実績多数
公式サイトによると、Movable Typeの導入実績は5万サイト以上とのこと。東証プライム市場に上場している企業の38%、国内の大学の54%がMovable Typeを利用しているそうです。
CMSとしての国内シェアは0.3%(※)ですが、企業や大学といったセキュリティを重視する組織で評価されているCMSと言えるでしょう。
なお個人サイトを含めた国内・海外で人気のCMSに興味のある方はこちらの関連記事をご覧ください。
関連記事:日本・海外のCMS市場シェアランキングTOP5|トレンドや選び方を解説
またMovable Type以外のおすすめの国産CMSについては、こちらの記事で紹介しています。
関連記事:本当におすすめできる国産CMS10選|国産のメリットと比較のポイント
※シェア率の母数は、国内のCMS利用サイト全体。
出典:Web Technology Surveys
Movable Typeの種類と価格一覧
Movable Typeはクラウド型とパッケージ型(オンプレミス型)の2種類あり、複数の製品からサイト規模や用途にあったものを選択できます。
個人向けに無償ダウンロード版はあるものの、企業・法人の利用は有償のみです。
製品 | 価格(税込) |
Movable Type net | 月額 2,750円〜 |
Movable Type Cloud | 月額 5,500円〜 |
Movable Type ソフトウェア版 | 99,000円 ※パッケージ版は1本につき+3,300円 |
Movable Type Premium | 825,000円(税込) ※年間メンテナンス 242,000円 |
Movable Type Advanced | 1,320,000円 ※年間メンテナンス 264,000円 |
MovableType Premium | 1,650,000円(税込) ※年間メンテナンス 484,000円 |
このほか、Movable Type for AWSや学校・教育団体向けのアカデミックディスカウント版もあります。またプラグインの追加や導入サポートなどは別途必要です。
Movable Typeの特徴
Movable Typeは、高負荷が予想されるサイトを安定して管理・運用したい企業や組織に向くCMSだと言えます。その特徴は次の5つです。
- 静的コンテンツが構築できてアクセス負荷に強い
- 国産CMSなのでサポートに安心感がある
- Movable Type専用のテンプレートタグでサイト構築できる
- Movable Typeひとつで複数サイトを構築できる
- 脆弱性が生じにくい
静的コンテンツが構築できてアクセス負荷に強い
Movable Typeの大きな特徴は、静的コンテンツの生成が簡単にできることです。
- 静的コンテンツ:いつ誰がアクセスしても表示が変わらないWebページのこと。あらかじめ用意されたHTMLを使うため表示が速い(利用例:コーポレートサイト、ランディングページ)
- 動的コンテンツ:ユーザーの情報やアクセスした時間帯によって表示を変更できるサイトのこと。ユーザーがアクセスしたタイミングでHTMLを生成するため、ユーザーに最適化した情報を届けられる(利用例:ECサイト、コラムサイトなど)
多くのCMSは動的コンテンツをメインにサイトを構築しますが、動的コンテンツはユーザーからアクセスが発生するたびにサーバーに負荷がかかります。
一方、そのようなサーバーとのやり取りが発生しない静的コンテンツは、ページ表示が速く、アクセス集中が発生しやすいサイトでも安定した運用が可能です。
国産CMSなのでサポートに安心感がある
Movable Typeは有償の国産CMSのため、ベンダーの公式サポートが受けられます。
- クラウド版:利用料金にサポートが含まれる
- ソフトウェア版:ライセンス購入後1年間のサポート期間が付く。有償での延長も可能
WordPressのような無償のCMSは、基本的に自社でトラブル対応する必要があります。その点、Movable Typeをはじめとする国内の有償CMSは日本語で問い合わせられるため、安心感があります。
Movable Type専用のテンプレートタグでサイト構築できる
Movable TypeにはMTテンプレート内で使える独自タグが400種以上あります。
たとえば「最新記事を新しい順に5件表示する」や「開催が終了したイベントページを非表示にする」などのカスタマイズは、MTタグを追加するだけで実現可能です。
MTタグの活用にはHTMLの基礎知識が必要ですが、公式から学習コンテンツが用意されています。テンプレートの軽微なカスタマイズであれば、非エンジニアでも実施できるでしょう。
Movable Typeひとつで複数サイトを構築できる
Movable Typeは1つのDBで複数サイトを構築できます。
たとえばWordPressは基本的に1CMSにつき1サイトしか構築できません。マルチサイトは作成も可能ですがカスタマイズが必要になります。
その点、Movable Typeは管理画面から新規サイトを簡単に作成できます。コーポレートサイトとは別にサービスサイトや採用サイトなどを構築していきたい場合に便利です。
脆弱性が生じにくい
Movable Typeは非オープンソース型であり、プラグインやテーマはベンダーのチェックを通過した信頼性の高いもののみ導入できます。オープンソース型CMSのように、プラグインやテーマを介した攻撃を受けにくい環境と言えるでしょう。
とはいえ一切の脆弱性がないCMSは存在しません。Movable Typeも深刻な脆弱性が発見された過去があります。
「ソフトウェア版を購入すればずっと安全に使える」というわけではなく、ベンダー側の情報をもとにアップデート対応する必要がある点には留意してください。
Movable TypeとWordPressは何が違う?比較一覧
項目 | Movable Type | WordPress |
利用料金 | 月額 2,750円(税込)〜 | 無料 |
静的サイト | 構築可能 | プラグインの導入が必要 |
公式サポート | あり | なし |
プラグイン数 | 400以上 | 60,500以上 |
オープンソース(無償)かライセンス(有償)か
Movable Typeは有償CMSであり、利用にはライセンス料がかかります。対してWordPressは無償のオープンソース型CMSです。
ただし、WordPressはソースコードが公開されており、世界的にもシェアが高いため、外部からの攻撃を受けやすいCMSです。トラブルについては基本的にすべて自社の責任で解決する必要がある点に注意してください。
CMSの基本知識や種類については関連記事をご覧ください。
関連記事:CMSとは?機能や導入するメリット、選び方のポイントと事例を解説
静的サイトが構築できるか否か
静的生成が可能なMovable Typeに対して、WordPressは基本的に動的生成しかできません。WordPressで静的生成を可能にするプラグインはありますが、他のプラグインとの連携に注意が必要です。
企業サイトでもWordPressを利用している例は多数あり、動的サイトだからといって必ずしも表示速度やアクセス耐性に問題が出るわけではありません。
しかし、突発的なアクセス集中が想定されるWebサイトを構築するなら、Movable Typeのほうが適していると言えるでしょう。
公式サポートの有無
これは他の有償CMSでも同じですが、Movable Typeを含めた国産CMSは基本的に日本語で公式サポートが受けられます。
WordPressは、アップデートやセキュリティパッチのリリースがあるのみで公式のサポート窓口はありません。アップデートによって使用しているプラグインやデザインに不備が発生した場合も、自社で対応する必要があります。
トラブルシューティングの対応が難しい企業は、Webサイトの保守管理を請け負っている制作会社と契約することになるでしょう。WordPressの利用料は無料ですが、保守管理の費用は別途かかってきます。
プラグイン数(拡張性)の違い
Movable TypeもWordPressもプラグインの導入によって機能を拡張できますが、拡張性は圧倒的にWordPressが優っています。
WordPressは2023年6月時点で60,500以上のプラグインがリリースされています。企業サイトとして機能開発やオリジナルデザイン制作を依頼する場合も、WordPressを扱える多数の制作会社から自社にあったところを選択可能です。
一方、Movable Typeのプラグイン数は400ほどで(※)、そのほとんどが有償プラグインです。またサイト制作の依頼先も、WordPressと比べてMovable Typeは選択肢が少なくなります。
※「Movable Type Plugins And Themes Directory」を参考に算出
Movable Typeの導入をおすすめするケース
Movable Typeの導入がおすすめなケースについて解説します。
なおMovable Type以外にも国内外でさまざまなCMSがリリースされています。こちらの記事で有償・無償あわせた11種類のCMSを比較していますので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:CMS11種類を比較|30以上の機能を調査した比較表も用意
大規模サイトをセキュアに構築したいとき
Movable Typeはラインナップが複数あり、コミュニティサイト、ECサイト、複雑な機能を持つ大規模サイトなど幅広く対応可能です。
またアカウントの権限管理をかなり細かく設定できるため、外部の人も含めて大人数で運用していきたいときにも安全に管理できます。
比較的規模の大きいWebサイトをセキュリティ重視で構築したいときに向いているCMSと言えます。
大量アクセスに強いサイトが欲しいとき
アクセス集中に強いWebサイトが欲しい場合にMovable Typeはおすすめできます。静的コンテンツが生成できるほか、クラウド版ではCDNとWAFのセットオプションも付けられます。
特定の期間にだけアクセス集中が発生する大学サイトで利用率が高い点からも、CMSとしての安定性には信頼が置けると言えるでしょう。
将来的に複数サイトを一括管理で運営したいとき
Movable Typeはソフトウェア版、クラウド版(S4i以上のプラン)のどちらでもドメインの異なる複数サイトを構築できます。
「コーポレートサイト以外にサービスサイトやブランドサイトを運営したい」「グループ会社のサイトも別に用意したい」となる可能性があるならば、検討候補の1つとしておすすめできます。
“おすすめしないケース”もある
以下のようなケースでは、Movable Type以外のCMSの検討をおすすめします。
- 動的コンテンツが必要
- 社内にWebの知識がある人がいない
- Webサイトだけで集客していきたい
Movable Typeは静的コンテンツ生成に特徴があるCMSです。「ユーザーごとに情報を最適化する」という動的コンテンツの特徴を活かしたい場合は、あまり導入メリットはないでしょう。
またSEO対策についてもカスタマイズが必要になります。WordPressのようにSEO対策用の無料プラグインやテーマが簡単に導入できるわけではない点に注意してください。
商用CMSならLeadGridもおすすめ
Movable Typeはアクセス負荷が高くなりそうなサイトを安全に構築・運営したい場合におすすめです。製品ラインナップが豊富なため、小規模サイトから大規模サイトまで幅広く活用できます。
一方、Webサイトを拠点にWebマーケティングを展開したい場合などは活用メリットが薄いでしょう。動的コンテンツがメインとなるWordPressやマーケティングに必要な機能を標準で備えた他の商用CMSのほうが、コストを軽減できる可能性があります。
もしWebマーケティングの機能がそろったCMSをお探しなら、ぜひクラウド型CMS「LeadGrid」をご検討ください。
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得意領域
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記事を書いた人

LeadGrid BLOG編集部
LeadGrid BLOG(リードグリッド ブログ)は、リード獲得に役立つ情報を発信するWebマーケティングメディアです。
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